Jが見た映画

映画の感想をつらつらと書きます。

20210816_フリーガイ

本日は「フリーガイ」を見てきました!

映画自体はそこそこだったんですが、テーマがとても興味深かったです。

 

「フリー・シティ」というオンラインゲームと現実世界を行ったり来たり

する感じで、雰囲気は「レディ・プレイヤー1」ぽかったです。

 

「フリー・シティ」内に存在する1モブキャラのガイという中年男性が

自我に目覚めるという話で、イメージ的にはドラクエの同じことしか話さない村人が

自分の行動に疑問を持って、行動を変え始めるみたいな感じですかね。

(勇者からしたらいい迷惑だけど、それぞれの視点があるよってことですね!?)

 

※ちょいちょいネタバレ含みます。ご注意。※

 

「フリー・シティ」はオンラインゲームなので、もちろん人間がゲーム内で

使用するアバター作って操作するわけですが、主人公のガイはモブキャラなので、

誰かが操作してるわけではなくて、決められたことを話すようプログラムされたAIです。

AIが短調な生活の中で成長していって、ガイが自我に目覚めるわけです。

(だいぶはしょりました)

 

本筋としてはコードを転用された天才プログラマがゲーム内に潜り込んで

転用の証拠を探し出すぞ!という感じなんですが、なんかそこじゃなくて。

 

プログラマの一人であるミリーとAIのガイが恋に落ちるわけなんですが、

人間と人間以外の恋愛話ってもう違和感を感じなくなっちゃってるところが

面白いですよね。(キスをした時、ミリーはガイがAIと知らなかったわけですが)

アベンジャーズ」のワンダとヴィジョンも普通に見れちゃうし、

「シェイプオブウォーター」に至っては相手が怪物だからこその感動がありました。

 

ガイはモブキャラ同士で友情を育んだり、モブキャラを先導してデジタルストライキ

起こしたりしますが、全体的に明るくコミカルに描かれてます。

ガイの親友のモブキャラが、たとえリアルな存在じゃなくても、

今こうして話していることはリアルだ!みたいな哲学を言っていて好きでした。。。

これって人間の手のひらの上で起きている現象だから笑っていられるけど

世が世なら、一つ話が違えば、きな臭いことになりますよね。

AIって人工知能(Artificial Intelligence)ですが、相互に知能を補完できるなら

そのうちに"人工"ではない完全知能(Perfectly Intelligence):PI !?

なんてものが誕生したりして!?その時がシンギュラリティってやつじゃないか!?!?

と、一人で興奮してしまいました...。

 

ラストはプログラマが本来作りたかった、成長するAIのキャラを観察するゲームが

描かれて終わりますが、考えようによってはこっちの方がタチが悪かったり...?

 

こっちのゲームはなんか動物園と構造似てますよね。

観察する対象が動物じゃなくてAIになっただけという。

人間に見られているのに気づかず、好きに生きるAI達、、、

気付いていないだけで、実は私たち人間も好きなように生きているようでいて、

遥かに大きな存在の一娯楽だったりして!?

あぁ、聞こえてきますね。Mr.都市伝説の声が、、、

(いい?いい加減気付けってこと...!)

 

都市伝説好きのSEには大変好みの映画でございましたとさ。

 

ではまたどこかで!

20210731_ベイビーわるきゅーれ

本日は「ベイビーわるきゅーれ」を見てきました!とても好みの映画でした。

 

元女子高生殺し屋コンビの、青春あり、日常あり、萌えあり、

アクションもユーモアもありのなんとも異色な、明るい殺し屋映画です。

 

もちろんメインは殺し屋稼業なわけなんですが、殺し屋も社会経験が必要ということで

アルバイトをしたり、寮を出て2人暮らしを始めたりするんですよね。

この"非殺し屋稼業"のシーンがとても良くて!

家にいる時は2人で鍋をつついたり、だらだらゲームしたり、時にはケンカもするんですが、

その雰囲気とか空気感とか仕草や癖がすごい自然で、思わずクスッと笑ってしまいます。

笑わせにくるシーンもありますが、全然演出がいやらしくなくて、素直に笑えます。

 

そんな折々でバキバキのアクションシーンに入ると、迫力もひとしおです。

やっぱり何事もギャップが大事です。

後で調べてわかったんですが、監督の阪本裕吾さんは「ある用務員」の

監督さんだったんですね。そして同じ世界戦ではないけど、「ある用務員」で出てきた

殺し屋コンビと「ベイビーわるきゅーれ」の殺し屋コンビが同じ人だったという...。

また見直したくなっちゃいますね!

「ある用務員」は"みんな死ぬじゃん!こんな映画あるのか〜笑"と印象深い作品でした。

 

ちなみにワルキューレというのは北欧神話に出てくる

"戦場で生きるものと死ぬものを定める女性"だそうですが、

ひらがなで"わるきゅーれ"と書かれると、なんだかキャッチーでいいですね。

 

こういう かわいい × 残酷 の組み合わせって近年多いな〜と感じていて

ポップで入りやすいしストーリーの引きもあって、私もけっこう好きです。

"まどマギ"に大ハマりした時を思い出しました。

 

ではまたどこかで!

 

20210728_アメリカン・ユートピア

本日は「アメリカン・ユートピア」を見てきました!凄かったです!

 

デヴィットバーンが2018年に発表したアルバム"American Utopia"を基にした

ブロードウェイショーを映画化した作品です。

 

このアルバムのことは知らなかったのですが、デヴィッドバーン率いるTalking Heads

ライブ映画「Stop Making Sense」が好きだったので、これは見たいなと思っていました。

私はドレスコーズの志摩遼平さんが大好きなんですが、ドレスコーズが「平凡」という

名盤を発表した際に影響を受けたアーティストの一人ということでTalking Heads

知りました。

「Stop Making Sense」は随分昔の映画ですが、どでかいジャケットのインパクトや

始まりの"Psycho Killer"はとても印象的で、定期的に見たくなる名作ですよね。

 

アメリカン・ユートピア」もすごいです。

"ショー"として表現する"ライブ"を初めて見ました。

一般的に、アルバムを聴いたりライブを見たりする時は、演奏・リズム・メロディ、

歌詞や声など、その曲自体に意識が集中すると思いますが、

アメリカン・ユートピア」は、台詞や照明、ダンスなどのパフォーマンスが盛り盛りで

曲同士の、セットリストを通してのストーリーが楽しめます。

(歌詞が字幕表示されるのも嬉しかったですね。)

 

ライブで聴く曲は、演奏者その人自身の生き様や精神性、

一瞬の刹那的な輝きが垣間見えて好きだったのですが、

ショーで聴く曲は、大勢の演者が観客を楽しませる為に重ねた練習の賜物、

完成品を見せてくれるような感覚で、これもまた良いものだなとしみじみ思いました。

 

アルバムを聴き込んで、もう一度映画館に見に行きたいですね〜。

 

ではまたどこかで!

20210725_アングスト/不安

本日は「アングスト/不安」を見てきました!噂通りのサイコ映画でした。

 

1980年に殺人鬼ヴェルナー・クニーセクが起こしたオーストリアの一家惨殺事件を

描いた作品です。世界各国上映禁止という触れ込みが気になっていました。

 

劇中は殺人鬼を正面から大きく映したシーンが多くて、確かに斬新なカメラワークです。

常に殺人鬼目線・独白で物語が進み、殺人鬼側の心情描写しかありません。

実録映画ということで、実際の事件のことも少し調べてみましたが、

"7~11時間に亘る拷問の後に、殺害した"という描写は劇中にはありませんでしたね。

キャッチコピーの煽りがすごくて、どれだけ過激なんだ!?と思っていましたが、

少しハードル上がりすぎていたかな...というのが正直な感想でした。

 

こういう映画って鑑賞者からすると、数多くある猟奇的な映画の一つですが

作成者側はどういう気持ちで作っているんでしょう。

HPを見ると、"殺人鬼の心理を探るという崇高な野心のもと全額自費で制作"と

ありますが、殺人鬼の心理を鑑賞者に見せた先に何があるんだろうなぁと思います。

否定したいわけでは全く無いんですけど、こういう作品を作ることに人生を捧げられる

理由が純粋に気になりました。

 

ではまたどこかで!

20210724_ねばぎば新世界

本日は「ねばぎば新世界」という映画を見てきました!

まぁまぁでした。(謎の上から目線すみません...)

 

主演も務める上西雄大監督の前作「ひとくず」がとても良かったので、

今作も鑑賞してみようと思ったわけです。

 

かつてヤクザの組を潰して回っていた勝吉・コオロギの名コンビが服役を経て再会し、

ひょんなところで一人の失語症の少年・武と知り合います。

武は、お母さんが怪しい宗教団体に入信しており、離れ離れになってしまった武の家族を

勝吉とコオロギは救い出そうとします。

その過程で男の友情や親子の愛情が描かれている...という感じの作品でした。

 

「ひとくず」とはジャンルが異なる痛快アクションムービーでしたが、

両作には共通して、温かい人情を感じ、監督の人柄が伝わった気がします。

上西監督は"人情を描く"ということを大事にされているのでしょうね。

(舞台となっている大阪・西成という街も、人情味を増している一要素でしょうか。

行ったことないですが、雑多な雰囲気とキャラクターがとてもマッチしていました。)

 

主題歌も良いです。「ひとくず」と同じく吉村ビソーさんが担当されています。

チャートに上がるようなオシャレさは無いですが、泥臭くて人の心に直接届くような

真に迫る歌声です。もちろん作品とも相性バッチリ。これは書き下ろしでしょうね...。

(観賞後、CD買っちゃいました!)

 

個人的には「ひとくず」の方が好きでしたが、これは好みの問題ですね。

「ねばぎば新世界」は本筋に向かうまでに余白のようなシーンも多くあって、

所々のユーモアやコミカルな描写は肩の力を抜いて楽しめると思います。

 

あと関係無いですが、上西監督演じるコオロギがギターウルフのセイジさんに激似です。

特に最後のアクションシーンとかは黒の革ジャンまで来ていて、ほぼ本人です。笑

ギターウルフファンは必見ですよ...! 

 

(失読症のコオロギが一文字分の丸い穴が開いた紙をプレゼントされて、本が読めるよ!と

感動するシーンがありましたが、失読症でも一文字ずつなら読めるんですね。

勉強になりました。)

 

ではまたどこかで!

20210723_SEOBOK/ソボク

本日は、SEOBOK/ソボクと言う韓国映画を見てきました!面白かったです。

 

主人公のソボクは韓国政府が遺伝子操作によって作った死なない人間です。

容姿的には10代後半の少年でしょうか。

関係者のお偉いさんが、この死なない技術を狙ったテロリストに殺されたことにより

ソボクを研究所から安全な場所へ移動させることになり、

その護衛に選ばれたのが、病気で余命半年の元エージェント・ギホンです。

既に引退していたギホンですが、ソボクの技術を使って病気を治すことを

条件に護衛になったということですね。

移動中、ソボクを狙うテロリストから抵抗を続けるうちに、ギホンとソボクの間には

信頼関係が生まれていき、命の価値や、生きる意味を考えていく…

と言う感じのストーリーです。

 

 

※以下、ネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意ください※

 

 

実験体として生まれ・扱われているソボクですが、

永遠に続くという髄液を抜く作業に愕然とするギホンと

"豚からインスリンを抜くのと同じだ"という科学者のセリフが印象的でした。

どちらも立場が違うだけで間違っているわけではないので、難しいですよね。

 

結局はテロリストのトップの余命わずかおじさんがソボクの技術を利用して不死になり、

さらには命の選別を行う神になる!という完全悪の役柄でした。

不死への執着はとても醜く見えましたが、ギホンがソボクを想う気持ち

(これも執着と言えますよね)は美しく、

やはり美醜は一対ですね。生死もまた然りで、"死ぬから生きるんだ"ということを

思い知らされました。

 

大暴れするソボクでしたが、最終的には皆殺しを思いとどまってギホンに頼み、

自身を銃で打ってもらうという結末でした。

誰かの役に立ちたいと涙を流すソボクでしたが、生きる意味を考えた時、

その部分は本当に大きいですよね。

 

死なないとされているソボクですが、

銃で撃たれたり車で轢かれたりすると普通に死んでしまうそうで、

さらに1日1回、細胞分裂を抑える薬を打たないと血を吐いて衰弱していってしまう

ということでしたが、個人的にはこの設定はうーん…という感じでした。

死なない人間と余命わずかの人間の対比を描くなら、死なない人間は強くあった方が

個人的にはわかりやすかったですね。

(ソボクは副産物の超能力が使えるので、まぁかなり強いのですが)

 

この前見た「Arc」も永遠の命をテーマにした日本の映画でしたが、こういうテーマは

永遠の命を得たとしても、"死ぬこともできる”という選択肢がないと

ストーリーを終わらせるのが難しいのかもしれません。

 

(自分のような日本の一般人にも届くくらい有名な)フランス映画とかだと、

"そして日常は続く…”みたいな感じでヌルッと終わっていく作品が多いイメージが

あるので、永遠の命をテーマにしたフランス映画が作られたら、

どんな結末を迎えるんだろう...と、少し気になりました。

 

(初めてのカップラーメンを食べまくるソボク、かわいかったなぁ。。)

 

ではまたいつか!